『南極料理人』

           

DVDになったらでいいや、と思ってたんだけど、ほぼ日の特集を見ちゃったらどうにも気になってしまって、結局は、先行上映で、『南極料理人』をみにいく。

フードスタイリストは飯島奈美さんだし、なんとなく、かもめ食堂フォロワー的な、ちょっとゆるめな、おいしいゴハン映画を想像していたのに、見事に裏切られて、そこには、むさ苦しい男たちの繊細さのかけらもない食事シーンばかりがあった。

ズバリ狙っているわけじゃないのに、クスクスと笑ってしまうサジ加減が絶妙で、朝体操のレオタードとか、娘の乳歯が地底に落っこちていじけちゃうところとか、KDDの清水さんとか、小ネタがいちいちおかしくて、ついついほころんでしまう。ことばにできない可笑しさみたいなものが、淡々朴訥としていて、すごいバランス。

そしてやっぱり、あのごくふつうのラーメンの、おいしそうな感じといったらなくて、すごくほんわかした気分で、映画館を後にした。観ている間はキツイかもだけど、ちょっと我慢して、映画が終わったら、その余韻に浸りながら、おいしいラーメンを食べるというのが、この映画のいちばん正しい味わい方かもしれないな、と思う。