旅に出たひとがあれば ウィンクで送ってやればいいのだ

TBSでやっていた『階段のうた』っていうショートドラマがすごくすきだった。階段のうえに住む女の子が、ひとり革命を起こそうとするはなし。

途中から見始めたんだけど、雰囲気とか、やってることとか、すごくツボで。市川実日子×西島秀俊っていう組み合わせもよくて、夜どっしり疲れて帰ってきても、なんかこれみたらすごくほっこりしちゃうのだった。日々のつつましい暮らしのなんと冒険に満ちたことか。

茨木のり子の「もっと強く」という詩がもとになってるんだけど、その詩がすごくいいので、じぶんメモ。

もっと強く願っていいのだ
わたしたちは 明石の鯛が食べたいと
もっと強く願っていいのだ わたしたちは
幾種類ものジャムがいつも食卓にあるようにと
もっと強く願っていいのだ わたしたちは
朝日の射す明るい 台所がほしいと

すりきれた靴は あっさりと捨て
キュッと鳴る新しい靴の感触を もっとしばし味わいたいと

秋 旅に出たひとがあれば
ウィンクで 送ってやればいいのだ

なぜだろう 萎縮することが生活なのだと
思い込んでしまった村と町
家々のひさしは 上目づかいのまぶた
[...]
女が欲しければ奪うのもいいのだ