絶体絶命

絶体絶命(初回生産限定仕様)

絶体絶命(初回生産限定仕様)

地震ノロの前後に聞き始めたからか、タイトルも相まってすっかり地震と高熱の日々に結びついてしまったラッドの新譜。聴くたびに違う印象になる、ぐるぐる不思議なアルバム。

もうろうとするアタマでひたすらリピートしていたけど、あ、これいいな、って思う曲が毎回違くて、とにかく聴いてて不思議な感触。いままでのアルバムと比べると曲がさらっとしていてわかりにくいし、よくも悪くも小粒なんだけど、歌詞やらメロディーやら細かい部分がぐっと響いてじわじわくる感じ。コード進行がいつも以上にぐるぐるしていて、たまにおいてきぼりになるくらいだけど、エモーショナルな部分がそぎ落とされて、アレンジ的にも歌詞の世界観的にもかなり哲学的になった分、その達観した感じがじわじわ、いい。

すきなのは、わかりやすいけど「君と羊と青」「π」「ものもらい」あたりかな。「君と羊と青」は、羊って何?って謎が解けてから歌詞の甘酸っぱさが染みて、ぐっときた。大人になったなあ、よーじろ。歌詞が深いよ。全体的に日本語のアプローチが多くなった分、そのことばの多義性みたいなのがぐんぐん深まって。もうすげーちゃんと考えないと理解できないよってレベルでもあるんだけど(笑)

ふたりごと」みたいなスイートでエモーショナルな曲がラッドの真骨頂と思っていたけど、さすがに感覚が若すぎて甘すぎるよな、って感じることも年齢的にあって、今回のはかなり等身大なのでたのしい。表現も世界観も深く複雑になった分わかりにくくなって、キャッチーでスイートなラッドは影を潜めちゃったし、キッズにはちょっとわかりにくくなっちゃったと思うけど、ぐっと力強く、大人になっちゃった彼らがこれからどう進むのか、ちょっとたのしみでもある。いと・しき・からだ、いと・しき・いのち。