『越境する天使』

越境する天使 パウル・クレー

越境する天使 パウル・クレー

いつも行く本屋のアート本コーナーで、大学時代の恩師のひとりの新刊をみつけて、思わず息が止まってしまった。宮下誠さんが亡くなったそうだ。享年49歳。

いわゆるカルスタ寄りのドイツ系美術史のパイオニアで、新進気鋭の学者だった。どれも安易な理論じゃなかったけど、すごく大きな影響を受けた人。

ゼミをさぼって3年間講義に通った先生なので、いろんな思い出がよぎって溢れてくる。穏やかな物腰で、カミソリみたいに鋭い眼をもった人だった。アドバイスはいつも簡潔にして的確だった。

副題は"Paul Klee, die überschreitende Engel"、先生の専門であるクレーが遺作になったのは偶然か必然か、まだ語るべきことはたくさんあったに違いないのに、残念でならない。ご冥福をお祈り致します。

本の感想はまた追って。まだ気持ちの整理がつかなすぎる。