君のこと沢山 知ってるつもりだったな

くるりの新しいアルバムがひさびさにすごくよくて、もうこればかり聴いてる。

ザ・ソングライターズの時も思ったけど、『ワルツを踊れ』、『魂のゆくえ』、と両極端なベクトルのアルバムがつづいて、なんだかひとまわりした感じ。シンプルで生活のにおいがする音。歌詞も音楽もすごく飾らない感じで作ってあって、景色が目の前にぶわっと浮かぶような。今っぽい空気感をうまくすくい上げた、いかにもくるりっぽいアルバムで、思わずうれしくなってしまった。

さよならアメリカのカラッとした音も、てのひらで泳ぎ疲れたとかゆう歌詞のぶっとび方も、東京レレレのレのぐるぐるした音も、目玉のおやじなんて直球タイトルも、犬とベイビーのゾクゾクするようなイントロも、コンバット・ダンスの艶っぽい歌い方も、ああ、いいアルバムできちゃったなあ、とほくほくしながら聴いてる。魔法のじゅうたんのあったかい匂いのする音、やっぱり大好きです。じんわり。

ノスタルジック、といってしまうといかにも単純だけど、やりたいことが明確で、それがうまくいっちゃってるから、またすごいんだ。ことばと音のつながりと断絶みたいなもの。ことばで伝わらないものが、空気や匂いや生活の端々みたいなものに伝わって、なんとなく繋がっていくような。こうゆうアルバムを同時代的に聴けるっていうのはホントにしあわせだ。さらっと空気感を味わっても、もちろん今回もさらっと凝ってる音の細部を聴きこんでも、どっちも楽しめるアルバム。これ聴きながら、ひとり旅にでかけたら、きっとすごくロマンチック。