旅に出たひとがあれば ウィンクで送ってやればいいのだ

TBSでやっていた『階段のうた』っていうショートドラマがすごくすきだった。階段のうえに住む女の子が、ひとり革命を起こそうとするはなし。

途中から見始めたんだけど、雰囲気とか、やってることとか、すごくツボで。市川実日子×西島秀俊っていう組み合わせもよくて、夜どっしり疲れて帰ってきても、なんかこれみたらすごくほっこりしちゃうのだった。日々のつつましい暮らしのなんと冒険に満ちたことか。

茨木のり子の「もっと強く」という詩がもとになってるんだけど、その詩がすごくいいので、じぶんメモ。

もっと強く願っていいのだ
わたしたちは 明石の鯛が食べたいと
もっと強く願っていいのだ わたしたちは
幾種類ものジャムがいつも食卓にあるようにと
もっと強く願っていいのだ わたしたちは
朝日の射す明るい 台所がほしいと

すりきれた靴は あっさりと捨て
キュッと鳴る新しい靴の感触を もっとしばし味わいたいと

秋 旅に出たひとがあれば
ウィンクで 送ってやればいいのだ

なぜだろう 萎縮することが生活なのだと
思い込んでしまった村と町
家々のひさしは 上目づかいのまぶた
[...]
女が欲しければ奪うのもいいのだ

水面の風景・ゴッホ展

金曜日、お休みをもらって、ひとり都内をぐるぐるする。

日常でちょっと煮詰まると、決まって飯田橋のカナルカフェに行く。あんまり足繁く通うところじゃないけど、職場が九段下にあった頃も含め、冷たい空気に触れながら、ぼうっと水面を眺めていると、なんだかアタマがすうっとクリアになる気がする。コーヒー1杯分の時間、音楽もなく、ぼーっといろんなことを考える。大したことじゃないんだけど。こうゆう切りかえができる場所ってたまに大事だ。ほんとに。

あたまをクールダウンしたところで、国立新美術館ゴッホ展をようやく観にいく。平日だったら空いているだろうと思っていたのに、やっぱりすごい混みよう。恥ずかしいことに、展示を観たのってはじめてだったんだけど、すごくヨーロッパの美術館を意識した作りになっているなと思った。展示自体はわかりやすくてコマーシャルで(解説が安住さんってあたり)、その割に解説が技法拠りというか、割とマニアックなので、そのコントラストがおもしろかった(たぶんそんな楽しみ方してるのってわたしだけ)。日本の美術館って、国単位であたらしいことを取り入れようって発想が薄くてまだまだコンサバなので、こうゆうPOPな魅せ方をする美術館があるってことはいいことだよなと思う。地下のカフェとか、ショップとかかなり好き。あの「今回の目玉」的な演出だけは、どうにかなんないもんかな、とは思うけど。

展示を周りながら、そういえばここ1年余り、美術館なんてほとんど行ってなかったことに気づいてはっとした。今回だって、仕事のことがなかったらたぶん来なかっただろう。こうゆう脳がきゅっと引き締まる感覚、やっぱり忘れちゃだめだなー。

名古屋と伊勢参りの旅

実妹の結婚式で、はじめての名古屋へ。前日から入って、仕事のリサーチをしたあと、名古屋といえばのモーニングを試したり、コーヒーカジタに行ったり、ひつまぶしやら、えびフライやら、味噌カツやらを食い倒れたりの2日間でした。コンパクトにいろんなものがまとまっていて、独特の空気感で、おもしろい街だったな。

結婚式自体は身内でこじんまり、という感じだったのだけれど、せっかくの熱田神宮だったのに、いそいそ何かしら動き回っていて、全然写真も撮れず、あっとゆうまに終わってしまった。でも、妹の嫁入りというのはなかなか感慨深かったです。スライドとかね、さすがにぐっときた。でも、だいたいにおいて、うちの家族はみんなさらっとしてるというか、ひょうひょうとしすぎてるんだよなー。


翌日はせっかくなので、早朝からお伊勢参りに行ってきました。名古屋から電車で1時間半くらいだったけど、ちょうど紅葉がきれいな時期で、朝のひかりが心地よかった。正直、たいしたバックグラウンドも勉強せずにいってしまったけど、ほんとうに江戸時代からずっと変わらないんだろうなあっていう空気の流れがあって、そんな神聖な時代に思いを馳せながら、お参りをしたのでした。

まだやれる その先のさき

11月に入っても、あいかわらずばたばたした日々が続いています。おしごとばかりしていて、たまにうぐぐ、となる時もあるけど、今のところはなんとか日々をすごしています。

今の会社に入って半年が経ったけど、なんか4月がものすごく昔のことのように思える。2−3年経っちゃったんじゃないかってくらいに。このしごとを始める前にいろいろ考えていたこともあったけど、考えることも、考え方も、ずいぶんいろんなことが変わったなー。それがいいのか悪いのかはわからないけれど。

日々のルーティンに慣れるということは、日常がスムーズに流れていくことである半面、いろんなことが当たり前になっていくっていうことでもある。今はあまりいろんなことを考える余裕がないのが正直なところだけど、自分の中のバランスとか、判断基準みたいなものは、見失わないようにしなくちゃな、と常に思っています。そのためにわたしはこうしてあてもなくつらつら綴るのだ、たぶん。

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Restless

Gus Van Santの新作『Restless』、トレイラーだけで相当期待してる。
いかにもGus Van Sant的な、ちょっとヘビーで病んでるひと満載なんだけど、へんてこかわいらしい雰囲気。かせりょう演じる、おばけの友だちもたのしみ!
サンキュー、フロシ、とかいわれちゃうと、それだけでなんかもうへっぽこでいいよね。あの兵隊さんの衣装はちょっとまあどうかとは思っちゃうんだけど。